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テレワーク継続・導入のポイント (導入ポイント編)

2020年から大流行した新型コロナウイルスによって、多くの企業がテレワークの実施に踏み切りました。しかし、緊急避難的に導入されたテレワークでは十分に目的を果たせなかった、あるいは導入当初とはテレワークの目的が変化している企業も多いのではないでしょうか。

本稿では、今後、テレワークを継続・導入するためには、何を考える必要があるのか、ポイントを見ていきます。

目次[非表示]

  1. 1.テレワークの現状
  2. 2.テレワークの目的
  3. 3.検討事項
    1. 3.1.①業務分析
    2. 3.2.②対象者
    3. 3.3.③テレワーク形態
    4. 3.4.④労働管理
    5. 3.5.⑤就業規則


テレワークの現状

 話の前提として、まずは新型コロナウイルス流行から現在までのテレワークの現状を示した調査があります。

 中小企業のテレワーク実施状況に関する調査として、東京商工会議所が定期的に行っている調査によると、令和2年3月に26%だったテレワーク実施率は、第1回・第2回緊急事態宣言中に70%近くまで上昇しましたが、第3回・第4回緊急事態宣言中は40%を切るまで減少しています。

 同調査の意見を見てみると、緊急避難的にテレワークを実施したが、残業増加やコミュニケーション不足といった要因により、テレワークを中止したことが見て取れる結果となっています。


テレワークの目的

 新型コロナウイルスが流行する中でテレワークが実施された大きな目的は、「事業継続性の確保」、「出勤人数の抑制」というものでした。

 しかし、現在テレワークを検討している皆様の目的は、「事業継続性の確保」や「出勤人数の抑制」でしょうか。それとも、「業務の効率化」や「ワークライフバランス」といった別の目的からでしょうか。また、事業継続性といっても、伝染病・災害といった長期に渡る事態に対する事業継続性でしょうか。それともオリンピック・万博といった短期の事態に対する事業継続性でしょうか。

 一口にテレワークといっても、何を目的にテレワークを実施するかによって、その内容は大きく異なるものになります。目的を明確にしないままテレワークを始めると、想定外の事態に直面する可能性もあるので、目的は慎重に検討する必要があります。

 では、目的を定めてテレワークを実施する際には、実際に何を検討し、決めておかなければならないのでしょうか。


検討事項

テレワークを導入する際に検討しなければならない事項は、主に次の点になります。

①業務分析

 テレワークが容易な業務と困難な業務の仕分け、容易な部門と困難な部門などの仕分けが必要となります。

 業務分析による仕分けを行わず、テレワーク困難な業務・部門にもテレワークを導入してしまうと、著しい効率の低下を招くため注意が必要です。

 一方で、オリンピックなど短期的な事態に対してテレワークを導入するのであれば、テレワーク困難な業務・部門には導入しないとの結論で良いかもしれませんが、伝染病など長期的な事態を想定しているのであれば、従業員間の不公平感が強くなっていきますので、困難な業務・部門に対してどう対処していくのかも考える必要があります。この点からも、テレワークの目的はよく検討しなければなりません。

②対象者

 育児介護者、通勤困難者、勤続年数1年以上など、対象者の選定基準は多岐に渡ります。伝染病のような事態では、全従業員を対象とすることも考えうるのではないでしょうか。

 この点においても、何を目的としてテレワークを実施するかによって大きく対象者は変わります。

③テレワーク形態

 テレワークというと在宅勤務を思い浮かべる方が多いと思いますが、テレワークには3つの形態があります。

 そもそもテレワークとは、「情報通信技術を活用して、労働者が所属する事業場と異なる場所で、所属事業場で行うことが可能な業務を行うこと」をいい、自宅を就業場所とする働き方である在宅勤務のほかにも、移動中や交通機関の車内・カフェなどを就業場所とする働き方であるモバイル勤務、所属するオフィスとは異なるオフィスを就業場所とする働き方であるサテライトオフィス勤務という形態も存在します。

 出勤抑制を目的とするのであれば在宅勤務が最も適合するでしょうが、業務効率化を目的とするのであれば、モバイル勤務を検討した方が良いかもしれません。やはり、テレワークの目的が何かが重要となります。

④労働管理

 テレワークを導入することによって、「労働時間管理」と「評価制度」において問題が生じることも多々あります。これまではタイムカードで時間管理をしていたが、テレワークではどう時間管理をするか、実際に働いている姿が見えなくなるテレワークにおいて、どのように従業員を評価するかなどです。

 労働時間管理について、使用者の現認にするのか勤怠ソフトを導入するか、評価制度について、テレワーク勤務者にも対応した評価制度をつくるのか、つくるとしたら内容はどうするのかといった検討が必要となります。

⑤就業規則

 上記の事柄を検討したうえで、その内容を就業規則に落とし込む作業も必要となります。就業規則で考えなければならない点は、主にテレワーク勤務の定義、対象者、テレワーク利用方法、労働時間・休憩・休日、出退勤管理・業務報告・連絡体制、時間外労働・中抜け、費用負担などになります。


 この点については、またそれぞれ考えなければならない事柄が多いため、後半の記事、テレワーク継続・導入のポイント(就業規則編)で詳細を解説します。

社会保険労務士 山之内 大

社会保険労務士 山之内 大

社会保険労務士 地方公務員を経て平成29年に飯田橋事務所入所。平成30年社会保険労務士登録。