Q. 梅雨の時期に従業員が通勤中に転倒してけがをしました。会社はどう対応すればいいですか?

梅雨の時期に従業員が通勤中に転倒してけがをしました。会社はどう対応すればいいですか?

A. 通勤中の転倒は「通勤災害」として労災保険が適用されます。会社は①労災申請のサポート、②再発防止策の実施が基本対応です。会社に安全配慮義務違反がない限り、損害賠償責任は原則生じません。

目次

通勤中のケガは「労災」になる?

従業員が通勤中にケガをした場合、労働者災害補償保険法(労災保険)の「通勤災害」として対応します。

適用対象となるのは、自宅と就業場所の間を合理的なルートで移動中に起きた事故です。

寄り道や私的な立ち寄りの後に発生したケガは対象外になるケースがあるため、まずけがをした際の状況を本人から詳しく確認しましょう。

認定されれば、治療費・休業補償(給付基礎日額の80%相当)が労災保険から支給されます。

健康保険は使えないため、従業員に対して必ず労災扱いで受診・手続きを進めるよう案内してください。

会社がすべき手続きと対応

会社が直接、労災の申請主体になるわけではありませんが、従業員が申請する際に必要な証明書類(様式第16号の3など)へ災害発生日や状況などにつき、証明を求められます。

対応の流れは以下のとおりです。

  1. 従業員から状況を確認する
  2. 労災指定病院を案内し、「労災扱い」で受診するよう伝える
  3. 指定外の病院に受診済みの場合は、一旦立替払いとなるため、後日請求できる旨を案内する
  4. 従業員に「通勤災害の療養給付請求書(様式第16号の3)」の取得・記入を案内し、記載された事実について会社が異論がない場合、会社証明欄に記名する
  5. 休業補償が必要な場合は「休業給付支給請求書(様式第16号の6)」も同様に対応する

なお、通勤災害は会社の業務外で起きた事故のため、原則として労働者死傷病報告の提出は不要です。

また、通勤は会社の業務ではないため、原則として会社の損害賠償責任は生じないと考えられますが、会社の安全配慮義務違反や業務との因果関係が認められると、責任を問われるケースもあります。

梅雨・悪天候時の再発防止策

安全配慮義務の観点から、会社は従業員の安全に配慮する義務があります。

梅雨の時期は、以下のような対策が有効です。

  • 注意喚起メールの配信:雨天時の転倒リスク、滑りやすい路面への注意を周知
  • 通勤手段・服装の案内:滑りにくい靴の着用推奨、動きやすい服装での通勤許可
  • テレワークや時差出勤の推奨:悪天候時のリスクそのものを減らす選択肢の提示

こうした対策は義務ではありませんが、取り組むことで、万一の際に「安全配慮で行なった」という根拠にもなりえます。

従業員の通勤中のけがについてのまとめ

従業員の通勤中の転倒は労災(通勤災害)として対応し、会社は申請書類への証明が求められます。

けが発生時の対応に加え、悪天候時の注意喚起など、再発防止策も忘れずに行いましょう。

対応を怠ると、従業員トラブルや労働基準監督署への報告漏れにつながります。

「何から手をつければいいかわからない」という場合は、社会保険労務士法人飯田橋事務所にお気軽にご相談ください。

目次