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どうする!?過半数代表労働者の選任の実務

前回は「36協定の過半数代表労働者を適正に選出していますか?」という記事で、36協定締結の際の過半数代表労働者(以下「過半数代表者」)の選任手続きについて留意点をお話いたしました。


今回は、具体的な選任事例についてご紹介したいと思います。

目次[非表示]

  1. 1. 過半数代表者選任のルール
  2. 2.どうやって選べばいいのか?
  3. 3.まとめ

   

 過半数代表者選任のルール

 過半数代表者を選出するにあたり、まずは協定を締結する者を選出することを明らかにした上で

立候補者を募ります。立候補者が出た場合は、当該立候補者を告示し、選挙・信任による過半数代表者の決定という作業に移ります。


では、立候補者を募っても誰も手を挙げなかった場合はどうしたらよいでしょうか。会社から特定の従業員に打診して過半数代表者をお願いして決めている、などということはないでしょうか。


労働基準法施行規則では、「協定を締結する者を選出することを明らかにした上で、投票、挙手等の民主的な方法で選出すること」とされています。さらに、2019年4月の労働基準法改正に伴い、過半数代表者の要件が厳格化され、「使用者の意向に基づき選出されたものでないこと」が施行規則に明記されました。


 したがって、何らかの過半数代表者選出の機会を与えずに、会社が過半数代表者となる従業員を指名する(決める)ことはできません。この点、施行規則に明記されたことにより、監督行政のチェックが厳しくなることが予想されます。



どうやって選べばいいのか?

 では、実際どうやって選出すればよいでしょうか。過半数代表者の立候補者がいる場合といない場合に分けて事例をご紹介します。


●立候補者がいる場合

事前に全従業員に立候補者と選出日時・選出方法を告示して、民主的な方法により過半数代表者を決めます。民主的な方法としては、投票による選挙・信任、従業員の集まる場での挙手による選挙・信任、回覧や電子メールによる信任などが考えられます。

●立候補者がいない場合

この場合は、会社は指名することはできませんが、候補者を推薦することは可能です。あくまで推薦であり、この時点では決定ではありません。推薦した候補者を全従業員に告示し、上記で挙げた民主的な方法により決定します。最終的な決定は従業員に委ねられているため、従業員の意思が反映された結果と言えます。


候補者については、できれば複数名の候補者を推薦して、選挙により選出してもらうのが望ましいでしょう。もし、推薦する候補者が一人の場合は信任投票になります。いずれの場合も過半数の賛成・信任が得られることが選出の条件となります。



まとめ

 過半数代表者の選出手続きについては、全従業員への告示文書や選挙・信任などの投票用紙や回覧結果、議事録等の記録を残しておきましょう。そして、選出結果として決定された過半数代表者を文書等で周知してください。


 過半数代表者は、従業員の意見を集約し、従業員を代表して会社と労働条件等について話し合う重要な役割を担っています。自分たち(従業員)の意思が反映された方法で選出され、自分たち(従業員)の代表者となった者を周知しなければならないのはそのためです。


労使協定の作成に関するご相談、協定内容に関するご相談等につきましては、ぜひ当事務所事務所相談会をご利用ください。

横島 洋志

横島 洋志

特定社会保険労務士 茨城県生まれ。大手飲料メーカー、広告代理店などでの営業勤務を経て、平成19年に社会保険労務士の資格を取得。平成29年に特定社会保険労務士付記。