労災様式5号とは?記入例や提出先をわかりやすく解説

「労災の様式5号の書き方を知りたい」

「様式5号はどこに提出すればいいの?」

人事労務担当者の方で、このような悩みを抱えていませんか?

労災保険の様式5号は、療養補償等給付を申請する際に使用する書類です。

指定医療機関や薬局に提出することで、治療費の支払いが免除されます。

労災の申請手続きは、原則として被災労働者が進めることになっていますが、実際には会社が代理で手続きを行うことが一般的です。

この記事では、手続きを行うことになった担当者の方が、スムーズに様式5号を作成できるように、次の内容を解説していきます。

  • 労災保険の様式5号とは
  • 書き方と記入例
  • 様式の入手先
  • 様式の提出先
  • 様式を提出する流れ

この記事を読めば、初めての手続きでも問題なく行えるので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

労災保険の様式5号とは

労災保険の様式5号とは

出典:療養補償給付及び複数事業労働者療養給付たる療養の給付請求書 業務災害用・複数業務要因災害用|厚生労働省

労災の様式5号は、労働者が業務災害(業務中にケガや病気になる)に遭い、労災指定医療機関で治療を受ける場合に使用する書類です。

労災指定医療機関に提出すれば、労災保険から療養補償等給付を受けられ、被災労働者は費用を負担することなく、治療を受けられます。

なお、正式名称は「療養補償給付及び複数事業労働者療養給付たる療養の給付請求書様式第5号」といいます。

様式5号と様式6号の違い

様式6号は、治療を受ける労災指定医療機関を変更するときに使用する書類です。

変更先の労災指定医療機関で、労災保険から療養補償等給付を受けるために提出します。

様式5号と様式7号の違い

様式7号は、様式5号と同じく、労災保険から療養補償等給付を受けるための書類です。

こちらは、業務災害に遭い、労災指定医療機関以外で受診した際に提出します。

一度窓口で治療費を支払った後に、様式7号を提出すると、被災労働者本人の銀行口座に費用が振り込まれます。

様式5号と様式8号の違い

様式8号は、休業補償等給付を受けるための書類です。

休業補償等給付とは、被災労働者が治療のために職場を休む際、その期間中に労働者に支給される給付金です。

4日以上休み、その間に賃金が支払われないときに、労災保険から休業補償等給付が支給されます。

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労災保険の様式5号の書き方と記入例

労災保険の様式5号の書き方と記入例

ここからは、様式5号の書き方をご紹介します。

会社(もしくは被災労働者本人)が記入する項目は以下の通りです。

会社側が記入する項目

⑤労働保険番号

⑧性別

⑨労働者の生年月日

⑩負傷又は発病年月日

⑫労働者の氏名、年齢

⑯労働者の住所、職種

⑰負傷又は発病の時刻

⑱災害発生の事実を確認した者の職名、氏名

⑲災害の原因及び発生状況

⑳指定医療機関等の名称、所在地

㉑傷病の部位及び状態

  • 事業の名称、事業場の所在地、事業主の氏名
  • 労働者の所属事業場の名称・所在地
  • 労働基準監督署長名
  • 病院または診療所、薬局、訪問看護事業者の名称
  • 請求人の住所、氏名

㉒その他就業先の有無(裏面)

上記以外の項目は、労働基準監督署の職員が担当するので、記入する必要はありません。

ここからは、性別や生年月日などすぐに記入できる項目を除いて、書き方をご説明します。

⑤労働保険番号

労働保険番号は、事業所ごとに割り振られる14桁の番号です。

労働保険の年度更新申告書の控えで確認できます。

なお、事故に遭った労働者が下請けの場合、元請け企業の労働保険番号を記入します。

派遣社員の場合は、派遣会社の労働保険番号をご記入ください。

⑩負傷又は発病年月日

労働者が業務によってケガ、もしくは病気になった年月日を記入します。

ただし、病気による労災申請の場合、発病の年月日がはっきりしないことが多いです。

その場合は、初めて医療機関を訪れた日をご記入ください。

後ほど、労働基準監督署による調査で正式な発病日が決定されます。

⑫労働者の氏名、年齢、職種

被災労働者の氏名と年齢、職種を記入します。

氏名は、次の点に注意してご記入ください。

  • カタカナ欄と漢字欄の両方に記入する
  • カタカナ欄では姓と名の間を1文字空ける
  • 濁点(が・ざ等)と半濁点(ぱ・ぴ等)は1文字として記入する
記入例

ス ス ゛キ  シ ン ハ ゜チ

職種は、労働者の業務内容が分かるように記入します。

記入例

溶接工

⑰負傷又は発病の時刻

労働者が業務によってケガ、もしくは病気になった時刻を記入します。

ただし、病気による労災申請で、発病の時刻が分からない場合は記入する必要はありません。

⑱災害発生の事実を確認した者の職名、氏名

災害発生の目撃者、もしくは報告を受けた人の職名と氏名を記入します。

⑲災害の原因及び発生状況

災害の原因と発生状況を、以下の項目に沿ってわかりやすく記入します。

  • (あ)どのような場所で
  • (い)どのような作業をしているときに
  • (う)どのような物又は環境に
  • (え)どのような不安全又は有害な状態があって
  • (お)どのような災害が発生したか

⑩の負傷又は発病年月日と初診日が異なる場合は、その理由も詳細にご記入ください。

この欄が不明確だと、後に労働基準監督署から確認のための連絡が入る場合があります。

記入例

金属加工の工場で鉄筋(75×40×5㎝)を運んでいる最中に、整理されていなかった鉄筋の上に足を置いたため、その鉄筋が動き、足が取られてバランスを失い転倒したところ、鉄筋の加工台に背中と腰を強く打ち付けた。原因は束ねていなかった鉄筋。

⑳指定医療機関等の名称、所在地

被災労働者が受診した医療機関名と住所を記入します。

㉑傷病の部位及び状態

ケガをした部分や状態について記入します。

記入例

脊椎圧迫骨折

事業の名称、事業場の所在地、事業主の氏名

こちらの欄は、記入内容に誤りがないことを証明するために、必ず会社側が記入します。

支店長等が事業主の代行として任命されている場合、その支店長が証明を行うことになります。

なお、被災労働者が下請労働者の場合は元請け企業の、派遣社員の場合は派遣会社の名称と所在地をご記入ください。

労働者の所属事業場の名称・所在地

被災労働者が直接所属している事業場が、上記の事業場と異なる場合のみ記入します。

記入するケース
  • 一括適用の取扱いをしている支店や営業所、工場
  • 建設事業の下請の事業場

労働基準監督署長名

労働基準監督署の宛名は、被災労働者が直接所属している事業所を管轄する労働基準監督署名をご記入ください。

病院または診療所、薬局、訪問看護事業者の名称

様式5号を提出する医療機関名を記入します。

日付は、医療機関に提出する日付をご記入ください。

請求人の住所、氏名

被災労働者本人の郵便番号、住所、氏名、電話番号を記入します。

㉒その他就業先の有無(裏面)

被災労働者が、他の会社で働いていない場合は「無」に丸をします。

他の会社で働いている場合は「有」に丸をし、所属している事業場数を記入します。

なお、被災した会社は含めません。

さらに、いずれかの事業場で特別加入している場合は、次の項目もご記入ください。

  • 労働保険番号
  • 労働保険事務組合名又は特別加入団体の名称
  • 加入年月日

派遣労働者が療養補償等給付のみを請求する場合は、派遣先事業主から「派遣元事業主が証明する事項の記載内容が事実と相違ないこと」の証明を受けてください。

労災保険の様式5号に印鑑・訂正印は不要

労災保険の様式5号に印鑑・訂正印は不要

様式5号だけでなく、労災保険に関するすべての様式には、印鑑を押す必要はありません。

医療機関や事業主の押印についても同様です。

なお、間違えて記入した場合も、訂正印は押さず二重線を引いて、空いてるスペースに正しい内容をご記入ください。

労災保険の様式5号の入手先

労災保険の様式5号の入手先

労災保険給付関係の用紙は労働基準監督署で入手できます。

また、厚生労働省のホームページからもダウンロードして使用することも可能です。

主要様式ダウンロードコーナー(労災保険給付関係主要様式) |厚生労働省

労災保険の様式5号の提出先

労災保険の様式5号の提出先

治療を受けた指定医療機関に提出します。

指定医療機関で処方箋をもらい、院外の薬局で薬を受け取った場合は、そちらの薬局にもご提出ください。

労災保険の様式5号を提出する流れ

労災保険の様式5号を提出する流れ

労災の様式5号を提出する基本的な流れは、以下のようになります。

①労働者から労災発生の報告が入る

労働者から「仕事中にケガをした」と報告が入ります。

労災が発生した際に速やかに会社に報告するよう、あらかじめ労働者へ周知しておきましょう。

②指定医療機関に行くよう伝える

被災労働者に、すぐに医療機関に行くように会社側が伝えます。

ただし、医療機関側には「仕事中にケガをした」と言うように伝え、健康保険証は使わないように注意を促してください。

違う保険を使うと、後で手続きが煩雑になります。

③様式5号を作成する

様式5号に必要な情報を記入し、できるだけ早く作成します。

作成したら、会社保管用にコピーをとり、原本の方を被災労働者に渡してください。

なお、災害補償に関する書類は、労働基準法により5年間の保存が義務付けられています。(法改正の経過措置として、2024年現在は3年間)

④被災労働者が指定医療機関に提出する

会社から様式5号を受け取った被災労働者が、受診した指定医療機関に提出します。

⑤労働基準監督署で調査が行われる

医療機関から様式5号が送られた労働基準監督署が、労働災害に該当する事案か調査します。

会社に対して資料提出を要請したり、被災労働者の上司や同僚に聞き取りを行う場合もあります。

⑥保険給付が決まる

労災認定された場合、原則として労災保険から全額治療費が支給されます。

なお、支給が決定された場合の通知は、被災労働者だけに行われます。

会社には、労災申請の結果は通知されません。

まとめ|労災様式5号の記入例を理解して給付を申請しよう

まとめ|労災様式5号の記入例を理解して給付を申請しよう

労災保険の様式5号は、被災労働者が業務災害に遭ったときに、労災保険から治療費を出してもらうための書類です。

被災労働者の負担を減らすために、様式5号の書き方を正しく理解して、給付を申請しましょう。

また「他の労災手続きを知りたい」という担当者の方は、こちらの記事をご覧ください。

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