意外と知らない!?振替休日と代休の違い

まずは問題です。

Q.休日労働をした後に、その代償として2週間以内に休みを与えました。この休みは次のいずれにあたるでしょうか?

次の中から選んでください。

1. 代休

2. 振替休日

3. 欠勤

目次

振替休日と代休の違いとは?

 では問題の解答です。

 答えは、「1. 代休」です。

 休日を振り替える前にあらかじめ振り替える日を特定せず、先に休日労働を行った後に、その代償としてその後の労働日の労働義務を免除するいわゆる代休の場合は、休日の振替には該当しません。

 振替休日と代休の違いは下図のとおりです。

 振休は「事前」振替、代休は「事後」清算です。

 振替休日は休日(法定休日)と労働日を振り替えることで休日労働ではなくなるため休日割増の問題は生じませんが、代休は休日労働の実績が残るため休日割増賃金の支払が必要となります。

 ただし、振替休日であっても同一週で振替休日が行われず、その週の労働時間が週の法定労働時間を超えた場合は時間外労働となり、時間外割増賃金の支払いが必要となります。

 また、休日の振替は、1週1日の休日(法定休日)が確保されることでなければならない。

 なお、週の起算日は、特に定めがない場合は日曜日となります。

振替できなかった場合はどうなる?

  あらかじめ特定していた日に振替休日を取得できなかった場合は、振替休日は成立せず、勤務した日は休日労働となります。この場合、改めて他の日に振り替えるような「振替えの振替え」は休日を特定したことにならず、振替休日とはなりません(やはり休日労働となります)。

また、振替えられなかった振替休日をそのままにする(放置する)と賃金未払いとなるのでご注意ください。

 たまに「振休が溜まってしまった」といったことを耳にすることがありますが、そもそも振休は溜まるものではありません。振休が溜まるといった考え方自体あり得ないことです。したがって年次有給休暇のように、溜まったものを消化する(ましてや消化できなかった分を買い取る)といった考えも当然あり得ません。このような運用には問題があり、賃金不払いという大きなリスクを伴います。

まとめ

 振替休日の措置については、下記のとおりです。

 ア)就業規則に振替休日の規定を置くこと

 イ)振替休日は特定すること

 ウ)振替休日は4週4日の休日が確保される範囲のできるだけ近接した日とすること

 エ)振替は前日までに通知すること

 振替休日を正しく運用できないのであれば、いったん休日労働として確定し、後日代休を取ってもらうという運用を検討してみてはいかがでしょうか。何のために振替休日が必要なのかを今一度考えてみましょう。

この記事を書いた人

社会保険労務士 横島 洋志

目次