クラウド給与で失敗しないための注意点【解説】

新型コロナウイルスによる影響で,最近,給与計算クラウドを導入して給与明細書の電子化(Web明細)が増えています。一方,給与計算クラウドを導入するにあたり,残業単価や課税非課税項目などの適正な設定が必要不可欠となってきています。

本記事では,給与計算クラウドのメリット・デメリットと導入・運用に失敗しないためのポイントについてまとめています。

是非,給与計算クラウド導入の参考にして頂けると幸いです。

目次

給与計算クラウドのメリット

①      マンパワー削減

給与明細書の梱包作業が不要となります。 これまでのように従業員一人ひとりの明細書を印刷したり封筒に封入したりして配布する必要はありません。お休みやシフトの関係で支給日後に明細書を配布する必要もありません。従業員は過去の明細書をいつでもWebで確認することができます。

②      適正な法定控除

 法定控除(所得税や雇用保険料,社会保険料など)の料率が自動更新されるため,適正に給与より控除することができます。(一部自動更新対象外の料率あり)

③      勤怠管理クラウドとのAPI連携

 給与計算と勤怠管理のクラウドをAPI連携させることで,毎月の給与計算で必要となる勤怠データを容易に給与計算クラウドに取込むことができます。わざわざ勤怠管理システムから勤怠データをCSVでエクスポートして,それを給与計算システムにインポートするといった手間も掛かりません。

給与計算クラウドのデメリット

 カスタマイズ性が低く,自社の給与計算に合わないという場合があります。給与計算クラウドを選定する際に,機能を十分確認することを推奨します。

失敗しないための導入・運用時の注意点

①    自社の給与規程と実態を把握する

特に中小企業においては,自社の給与規程と実態に乖離があることは多々あります。それではクラウドの初期設定は上手くいかず導入失敗となります。失敗しないためにも,まずは規程と実態をしっかりと把握し,自社がどのような運用にしたいかを決めてから設定しましょう。

②    自社の理想を100%実現しようとしない

現在あるクラウドではどのような運用にも対応できるわけではありません。自社の理想となる運用を実現するためには,クラウドだけでなくエクセル等を活用することも必要になります。それでも理想を100%実現できないかもしれないことを念頭に置きましょう。

③    専門家による給与規程チェック

誤った給与計算は,従業員による未払残業代の請求などへと繋がります。残業単価,残業手当等の端数処理,課税非課税項目,労働社会保険料の算定基礎などについて,クラウドを導入するタイミングで,是非,社労士によるチェックを受けましょう。

④    専門家による初期設定および運用支援

クラウドに限らず給与計算システムを設定し運用を継続していくためには,「システムの機能に関する知識」と「給与計算に関する法的な知識」の両方が必要となります。是非,社労士による初期設定および運用支援を受けましょう。

まとめ

給与計算クラウドを導入することで得られるメリット・デメリットと導入・運用に失敗しないためのポイントについてご理解頂けたことと思います。是非,給与計算クラウドを導入してマンパワーを削減すると共に,適正な給与計算を行っていきましょう。

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