Q. 就業規則を何年も見直していませんが、今の法改正に対応できていますか?

A. 就業規則は法令に適合していなければならないため、数年間改訂していない場合、形式上は規則が存在していても、「現行法に適合していない状態」である可能性が高く、未対応の部分は無効となる可能性があります。

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そもそも就業規則とは何か

就業規則とは、会社が労働者に適用する労働条件や職場規律を定めたルールブックで、単なる社内マニュアルではありません。

労働基準法89条では、常時10人以上の労働者を使用する事業場では、作成と労働基準監督署への届出が法律で義務付けられています。

また、就業規則を変更した場合でも同様です。

「常時10人以上」とは時として10人未満となることはあっても常態として10人以上の労働者を使用している場合もあてはまり、労働者の中にはパートタイマーやアルバイトも含みます。

つまり、就業規則は会社が任意で作成するものではなく、法律に基づく公的文書です。

さらに重要なのは、その内容が法律に適合していなければならないという点です。(労働基準法92条)

仮に法改正に対応していない規定があれば、その部分は無効になってしまいます。

会社が「規則どおりに運用した」と主張しても、法律に反していれば認められません。

だからこそ、数年間見直していない場合、今の法改正に対応できておらず、法令違反状態になっている可能性があるのです。

また、就業規則は各作業所の見やすい場所への掲示、備え付け、書面の交付などによって、労働者に周知しなければなりません。(労働基準法第106条)

では、労働基準監督署はどこを見るのか

労働基準監督署は、就業規則が「あるかどうか」だけではなく、「現行法に適合しているか」を確認します。

労働基準監督署の立入調査でまず見られるのが、就業規則の最終改訂日です。

最終改訂日が古く、近年の法改正に対応していない場合、是正指導の対象となる可能性が高まります。

そして、法律で定められた必要記載事項も精査されます。

具体的には、始業・終業時刻、休憩時間、休日、休暇、賃金の決定や計算方法、支払方法、賃金の締切り及び支払の時期、昇給、退職や解雇事由が明確に定められているかなどです。

「別規程で定める」としている場合は、その規程が実在するかまでチェックされ、未作成であれば違反となります。

現在、最も厳しく確認される可能性が高いのは、時間外労働の上限規制への対応です。

時間外労働は原則として月45時間、年360時間までであり、特別条項を設ける場合でも年720時間以内、単月100時間未満など、複数の上限規制があります。

労働基準監督署は、就業規則の時間外労働に関する規定のほか、時間外労働に関する労使協定、実際の勤怠記録が一致しているかを精査するため、就業規則以外にもチェックの目が及ぶことになるでしょう。

協定だけ更新し、就業規則が古いまま、あるいは規定が曖昧という状態は是正指導の対象になります。

さらに、規則と実態が一致しているかも重要なポイントです。

規則に定めのない手当を支給している、規則どおりの手続きを経ずに懲戒処分を行っているといった場合、形式上規則が整っていても是正対象となり得ます。

法令の最低基準を下回る規定や、過度な懲戒・賃金控除なども認められません。

就業規則は作成して終わりの文書ではなく、法改正に応じて更新され、労使協定や実態と一致していることが大前提です。

数年間見直していない場合、それ自体が法改正未対応の可能性を示す事実となります。

法律違反のリスクを防ぐためにも、専門家の助けを借りながら定期的に就業規則の見直しを行いましょう。

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