2025年度(令和7年度)の最低賃金改定でいくらになる?改定日や地域別一覧・計算方法を解説

国民の生活や企業経営に大きく関わるため、最低賃金の改定は毎年大きな注目を集めています。

物価上昇や人材確保の課題といった背景から、全国的に最低賃金がどこまで引き上げられるのかは、多くの労働者や企業にとって非常に関心の高いテーマです。

パート・アルバイトから正社員まで、全ての労働者に関わる最低賃金は、給与計算や求人票の記載にも直結するため、改定内容を正しく把握することが重要です。

本記事では、2025年度の最低賃金がいくらになるのか、いつから適用されるのかといった点を中心に最低賃金改定について解説します。

企業の対応にも影響があるため、人事や労務・総務担当者の方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

2025年度最低賃金改定のポイント

2025年度の最低賃金改定では、全国平均がどれくらい上がるのか、いつから適用されるのかが大きな注目ポイントです。

例年どおり、中央最低賃金審議会と地方審議会で議論が行われ、都道府県ごとに新しい水準が決まります。

労働者にとっては生活に直結し、企業にとっては人件費や求人条件に関わるため、押さえておくべきポイントを整理しておきましょう。

2025年度改定の全国加重平均と引き上げ率

最低賃金は「地域別最低賃金」として都道府県ごとに定められていますが、その水準を示す指標として「全国加重平均額」が公表されます。

厚生労働省の「中央最低賃金審議会」が各都道府県の引き上げ額の目安を提示し、その後、各地方最低賃金審議会が議論して地域ごとの額を決定する流れです。

2025年度の目安は8月4日に発表されており、目安どおりに引き上げが決定した場合には、全国加重平均は1,118円、上昇額は過去最高の63円、引き上げ率は6%となります。

実際の引き上げは下記の流れで進められるため、中央最低賃金審議会の目安とは差が出る点も押さえておきましょう。

  1. 厚生労働省の中央最低賃金審議会が、全国の目安額を答申
  2. 各都道府県の地方最低賃金審議会が、地域の実情を踏まえて協議・答申
  3. 都道府県労働局長が決定・告示
  4. 改定された最低賃金が10月から順次適用

改定はいつから適用される?

最低賃金の改定は、例年10月1日から順次適用されていきます。

最低賃金が適用される発効日も都道府県によって異なるため、「全国一律でこの日から」とは決まっていないことを押さえておきましょう。

参考までに2024年度の発効日では、徳島県が令和6年11月1日と、10月1日から1ヶ月期間が空いて適用された都道府県もありました。

2025年度も同様に、都道府県ごとに発効日が告示され、10月1日から新しい最低賃金が適用される見込みです。

2025年度地域別の最低賃金【最新情報】

最低賃金は全国一律ではなく、都道府県ごとに定められています。

各都道府県が「A・B・C」3つのランクに分けられ、ランクごとに引き上げ額の目安が設定されています。

※Aランク:63円 Bランク:63円 Cランク:64円(2025年度)

2025年度も例年通り、厚生労働省の審議を経て10月頃から新しい金額が適用される見込みです。

2024年度の最低賃金と、2025年度の引き上げ額の目安をもとに、都道府県ごとに最低賃金の目安をまとめましたのでご覧ください。

最低賃金の計算方法

最低賃金は「1時間あたりの金額」で定められています。

しかし、実際の給与は月給や日給、歩合制などさまざまな形で支払われるため、自分の給与が最低賃金を下回っていないか確認するには「時間あたりに換算する」ことが必要です。

以下では、代表的な最低賃金の計算方法を解説します。

最低時給額から月給換算する方法

月給制の場合でも最低賃金は適用され、クリアしているかどうかは「月給 ÷ 1ヶ月の平均所定労働時間」が最低賃金額より多いか比較することで確認できます。

例として、以下の条件の場合、最低賃金をクリアしているのかについて確認していきましょう。

【条件】
・基本給:20万円/月
・所定労働時間:8時間/日
・年間の所定労働日数:240日
・勤務地:A県(最低賃金:1,200円)

上記の条件から、時間額を計算する式は以下のとおりです。

「200,000円×12ヶ月÷240日×8時間=1,250円」

この場合には、A県の最低賃金である1,200円を超えているため、最低賃金以上であるという結論になります。

固定残業代・手当の扱いに注意

最低賃金を満たしているかを確認する際には給与額を利用しますが、給与額には基本給のほかに各種手当が含まれる場合があります。

基本給以外のすべての項目が、計算に含まれるわけではないため注意が必要です。

具体的には、以下のように扱われます。

最低賃金に算入されないもの:通勤手当、家族手当、精皆勤手当、固定残業代など
算入されるもの:基本給、職務手当、技能手当など

最低賃金を計算する際には、含める・含めない項目に注意しましょう。

最低賃金改定に伴う企業の対応ポイント

最低賃金の引き上げは、企業にとっては人件費の増加や給与体系の見直しが必要になる重要なタイミングです。

特に、さまざまな形態の労働者が多い企業では、慎重な対応が求められます。

給与計算とシフト調整の見直し

最低賃金が改定されると、時給で働くパート・アルバイトの給与に真っ先に影響があります。

改定後の金額に合わせて給与計算ソフトや、雇用管理システムなどの設定を変更することが欠かせません。

また、シフトの組み方や人員配置を見直し、労働時間と賃金のバランスを取ることも重要です。

人件費が膨らむことで経営に負担がかかると、営業時間やサービス内容の調整が必要になる場合もあるでしょう。

求人票・就業規則の更新と周知

求人票に記載する時給額は、最低賃金改定後に速やかに更新する必要があります。

改定前のまま掲載すると「虚偽の求人情報」となり、法的リスクや企業イメージのダウンにもつながりかねません。

さらに、就業規則や賃金規程を改定し、従業員に周知することも大切な義務です。

労働基準法では、労働条件を明示しなければならないと定められているため、新しい賃金額をしっかり伝えることが求められます。

最低賃金に関するよくある質問

最低賃金は労働条件の根幹に関わるルールですが、実務上は「これも含まれるの?」「月給制だとどうなる?」と疑問に思う場面も多いです。

ここでは特に問い合わせの多い内容を整理します。

最低賃金は高校生にも適用される?

最低賃金は、高校生にも適用されます。

最低賃金は、年齢や雇用形態に関係なく、すべての労働者に適用されます。

高校生アルバイトでも、地域の最低賃金を下回る時給設定は認められません。

臨時・インターンなどに最低賃金は適用される?

臨時やインターンであっても労働者にあたる場合は、基本的に最低賃金法の対象であるため、最低賃金が適用されます。

例外として、職業訓練など一部のケースでは各都道府県の労働局長の許可を得れば減額特例が認められる場合もありますが、原則は最低賃金を下回ってはいけません。

最低賃金を下回った場合、どんなペナルティがある?

最低賃金が適用される労働者に対して、使用者が最低賃金を上回る賃金を支払わなかった場合、最低賃金法違反となり、罰則の対象になります。

具体的には「50万円以下の罰金」が科される可能性があります。

まとめ

2025年度(令和7年度)の最低賃金改定は、全国平均で過去最大級の引き上げ幅が示され、東京や神奈川といった1,200円台に突入する地域も出てきました。

2025年度の改定も例年どおり10月から順次適用される見込みであるため、都道府県ごとの決定・告示を見逃さないようにしましょう。

最低賃金の改定は毎年のことですが、今年度は特に大幅な上昇目安が示されており、労使双方にとって制度を正しく理解することがより重要になってきています。

本記事を参考に、2025年度の最新情報を押さえ、適切な対応につなげましょう。

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