就業規則の効力はいつから発生するのか?

まずは問題です。

Q.作成・改定した就業規則は下記のどの時点で効力が発生する(有効となる)でしょうか?

次の中から選んでください。

1. 過半数労働者代表の意見聴取をした日

2. 労働基準監督署に届出をした日

3. 従業員に周知した日

目次

就業規則の効力発生要件とは?

 では問題の解答です。

 答えは、「3. 従業員に周知した日」です。

 「就業規則の効力発生の時期は、就業規則が何らかの方法によって労働者に周知された時期以後で当該就業規則に施行期日として定められた日」(厚生労働省労働基準局「平成22年版労働基準法下-労働法コンメンタール3-」)とされています。

 過半数労働者代表の意見聴取や労働基準監督署への届出は効力発生の要件ではないとされています。これらは就業規則の手続要件で、これを怠ると労働基準法違反が問われますが、就業規則が有効となるのはあくまでも労働者に周知したときからです。逆に言えば、周知されていない就業規則は無効となります。

就業規則の周知方法について

 「周知」については、労働契約法第7条と労働基準法第106条1項及び労基則第52条の2に定められています。周知は実質的に従業員が見ることができる状態に置いていることが必要である(労働契約法第7条)とされており、労基則第52条にある「①常時見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること」、「②書面を労働者に交付すること」、「③磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること」のいずれかの方法に限定されないと考えられます。

 実務的には、職場への備え付けやイントラネット等への電子データの掲示が一般的かと思われます。従業員が見ることのできない状態(例えば、金庫に閉まってあるなど一部の人しか見ることができないなど)では周知したことにはならないのでご注意ください。

 では、従業員が見ることができる状態に置いている(周知している)にもかかわらず、就業規則を従業員が見ていないためにその内容を知らなかったと主張された場合、その従業員に対する就業規則の効力はどうなるでしょうか。

 この点については、就業規則の内容が合理的かつ周知されている場合は、その内容を知らなかった労働者についても拘束されると考えられます。

人事・労務でお悩みなら是非ご相談ください

「専門性と豊富な経験」: 社労士18名(うち特定社労士11名)、ハラスメント防止コンサルタント、採用支援、中退共導入支援、産業カウンセラーなど、幅広い専門性を持った職員が支援します。
「多様な顧問先への対応」: 従業員数が数名から8,000名超の様々な規模・業種の顧問先に対応しており、多くの事例と実績があります。
「担当者制と迅速な対応」: メイン担当者制に加え、グループ制や複数担当者制で、「連絡が取りやすい」「回答が早い」といった支援体制を確立しています。
「業務のデジタル化」: ITシステムを活用して労働・社会保険の諸手続きや給与計算などをデジタル化・効率化しています。
「高いセキュリティー」: プライバシーマークを取得し、日本でも有数の更新回数です。個人情報の保護に実績と信頼があります。

飯田橋事務所には色々な特徴やサービスがございます、TOPページをぜひご覧ください👇

まとめ

 就業規則の「周知」は重要な手続となります。就業規則が労働契約の内容となることを考えれば、労働契約締結時や労働条件の変更時などに就業規則を周知した際、従業員が就業規則の内容を確認(合意)したことを書面などで取っておくが重要であると考えます。

 労働条件は労使合意によるという原則に立ち返り、就業規則の重要性を改めて見直してみましょう。

この記事を書いた人

社会保険労務士 横島 洋志

目次