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雇用調整助成金 実務のてびき(1/2)

雇用調整助成金(経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者に対して一時的に休業、教育訓練又は出向を行い労働者雇用維持図った場合に、休業手当、賃金一部助成する)は「新型コロナウィルス感染症」の影響を踏まえ令和2年2月14日、2月28日3月10日、4月10日、5月1日、5月19日と幾度も制度拡充及び手続き簡素化特例措置が講じられてきています(今後は、休業1日当たりの上限金額8,330円を5月末の閣議決定→通常国会中の6月上旬を目途に15,000円に引き上げられる見込みです。)あまりに頻繁に改定があり、正直ついていけません・・・(※記事執筆時期:2020年6月5日)

 今回は小規模事業所従業員が概ね20人以下)向けに現時点で最も簡素化された手続きの流れについて、次回は休業1日当たりの上限金額が引き上げられた場合に使用する申請用紙や、申請の際、従業員1人当たりの平均賃金を算定するために使用するデータ違いによる助成金について2回に分けて述べていきます。


目次[非表示]

  1. 1.申請要件(新型コロナ特例_令和2年5月23日現在_4月1日以降の休業の場合)
  2. 2.手続きの流れ(令和2年5月19日改定_小規模事業主用申請)

  ※次回は3~5をお届けします。

  3.申請用紙による助成金額の違い(休業1日当たりの上限額引き上げ後)

  4.平均賃金の算定に用いるデータによる助成金額の違い(休業1日当たりの上限額引き上げ後)

  5.まとめ


申請要件(新型コロナ特例_令和2年5月23日現在_4月1日以降の休業の場合)

1.事業者であること(業種は問わない

2.対象の従業員が雇用保険に加入している(雇用保険に加入していない従業員については

「緊急雇用安定助成金」が別にあります)

3.新型コロナウィルス感染症の影響による休業である

4.休業に対して支給した休業手当賃金60%以上である(労働基準法第26

5.休業により生産指標が5%以上低下していること(3月31日以前の休業は10%以上)

6.原則1日単位の休業であること(事業所内の部門、店舗等の施設毎の短時間休業は可)

7.休業規模が1/40(中小企業で4/1以降の休業の場合)以上であること

(例:支給申請期間を4/1~4/30、所定労働日数20日の事業所に8人の労働者がいる場合

⇒20日×8人×1/40=4日  ※8人の内4人がこの期間に1日ずつしか休業していなくても条件クリア)


※詳細は「雇用調整助成金ガイドブック」を確認ください。




手続きの流れ(令和2年5月19日改定_小規模事業主用申請)

例)小規模事業所(※注1)A社を例に令和2年4月1日以降の休業を翌月5月19日以降に申請する場合

(※注1)小規模事業所とは従業員が概ね20人以下の事業所

【A社の設定情報】

 1)IT企業  

 2)従業員8名(所定労働時間8:00/日)  

 3)所定労働日数21日/月

 4)給与は末〆翌月10日支払い 

 5)従業員を休業させる(させた)理由と事業活動(売上高や生産量)の減少状況

   ⇒新型コロナウィルス感染症の影響で、売上の大半を占めていた取引先企業B社が休業 を開始。B社からの受注停止により、売上が大幅にダウンした。雇用を維持するために令和2年4月1日より従業員を休業させることとなった。(休業を開始した令和2年4月と前年同月の4月の売上は5%以上低下している)

 6)休業開始日は令和2年4月1日以降    

 7)休業1日当たりの休業手当は80%

 8)休業は8名全員が事業所の公休日(土日及び祝日)を除く全ての日(21日)を休業


【手続き】

①「休業協定」の締結(「休業協定書」、「委任状」及び「労働者代表選任書」(※注2)の作成)

 ・A社の過半数以上従業員により、従業員の代表者を決めてもらい、その代表者と「休業協定」を締結(休業協定は以下の項目について取決め、「休業協定書」を作成する)

 ⅰ) 休業を実施する予定の始期及び終期、及びその間の休業予定日数

 ⅱ) 休業の日の始業及び終業時刻(短時間休業を行う場合は休業時間数)

 ⅲ) 休業の対象となる労働者の範囲及び人数

 ⅳ) 休業手当の支給割合とその計算方法(労働基準法第26条に定める平均賃金の60%以上の支給に違反していないこと)

(※注2)小規模事業主用の様式を使用する場合、 「休業協定書」、「委任状」及び「労働者代表選任書」は支給申請の際に提出不要ですが、従業員の過半数以上により選任された従業員の代表者と休業協定を締結し、その内容に従った休業に対して助成金が支給されるという原則がありますので、作成しておきましょう。

※詳細は「雇用調整助成金ガイドブック」を確認ください。



②休業の実施(休業協定書に従って休業を行う)


③賃金の支払い(休業協定書に従って休業手当を支給する)


④支給申請書の作成

  

《様式特小第2号》_休業実績一覧表

 記入項目

ⅰ)支給申請する1か月(判定基礎期間)   ⇒例)令和2年4月1日~4月30日

ⅱ)従業員の人数

ⅲ)休業手当の支給率、1日の所定労働時間  ⇒例)80%、8時間/日

ⅳ)休業対象労働者名/雇用保険被保険者番号/1か月の休業日数/

支払った休業手当金額   

  ⇒例)(※注3)《様式特小第1号》で例示

ⅴ)「休業協定書」の内容での休業であることの確認として、事業主と労働者の代表者

双方が記名押印又は署名


《様式特小第1号(別紙)》_助成率確認票

 記入項目

ⅰ)事業所及び事業主名

ⅱ)支給申請する1か月(判定基礎期間)

ⅲ)4月1日以降の休業日、1月24日以降の解雇等、都道府県知事の施設使用停止

や営業時間短縮の要請の有無、休業手当の支払い率、休業手当の日額、4月8日

以降の休業の有無、を☑していくことで助成率が決定   

  ⇒例)助成率93(※4)                                              (4/1~4/30の休業、解雇等無、都道府県知事の要請無、休業手当支払い率80%)


《様式特小第1号》_雇用調整助成金 支給申請書

ⅰ)申請日の記入

ⅱ)事業所及び事業主の情報

ⅲ)休業した事業所情報(ⅰと同じ場合は☑)

ⅳ) 助成金受取口座

ⅴ) 休業理由及び休業の規模を「はい」「いいえ」で確認

ⅵ) 支給申請する1か月(判定基礎期間)

ⅶ) 助成金の計算                                       

(「支払った休業手当の合計額×助成率」と「休業1日当たりの助成金上限額×休業延べ日数」のいずれか低い額)



 休業手当の合計額を計算する(※注5)

従業員の通常の賃金(基本給+各手当+通勤定期代)は次の通り

Aさん=405,000円

Bさん=323,000円

Cさん=295,000円

Dさん=287,000円

Eさん=262,000円

Fさん=248,000円

Gさん=222,000円手当

さん=206,000円


  従業員の欠勤控除と休業手当80%)                                     

※今回の給与計算対象期間(4/1~4/30)_8名全員全日休業(各21日休業)

Aさん

欠勤控除405,000円

休業手当=324,000円

Bさん

欠勤控除323,000円

休業手当=258,400円

Cさん

欠勤控除295,000円

休業手当=236,000円

Dさん

欠勤控除287,000円

休業手当=229,600円

Eさん

欠勤控除262,000円

休業手当=209,600円

Fさん

欠勤控除248,000円

休業手当=198,400円

Gさん

欠勤控除222,000円

休業手当=177,600円

Hさん

欠勤控除206,000円

休業手当=164,800円

 休業手当の合計額

1,798,400円(※注5)


a.休業手当の合計額(※注5)×助成率(※注4) = 1,798,400円×94%

                            =  1,690,496円

  b.上限日額×休業延べ日数= 8,330円(令和2年5月23日現在) × 21日×8人

                          = 8,330円×168日= 1,399,440円

a. 1,690,496円 > b. 1,399,440円 のため今回の助成金額は

                        b. 1,399,440円


島田 光英

島田 光英

主任コンサルタント 平成6年飯田橋事務所入所。 様々な顧問先の給与計算業務に携わる。給与計算業ではお客様から高い信頼を得て いる。