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私の愛犬/藤永 みさ子

私が子供の頃、実家で犬を飼っていました。その名は、「だいごろう」といい、名のとおり体重25キロというとてつもなく大きな犬でした。
その巨体のおかげで番犬としてはかなり実力を発揮していた彼ですが、実はこの上なく臆病者で、かなりのあわてものでした。
なにもない道で躓いて転んでみたり、車の下に入ったらそのまま体がはまってしまい抜け出せなくなったり、しっぽを振りすぎて骨折するなんていうこともありました。(獣医さんにはありえない話だと言われましたが・・・)
そんな彼との一番の思い出は花火大会です。私の実家がある町では、毎年夏の終わりに開催される地元を挙げての大きな花火大会がありました。
 花火といえば夜空に輝く美しい大輪の花!そして、お腹に響くあのドーンという轟音!当時はまだ実家の周りに田んぼがひろがっていたので、その畦道にすわり家族や友人と毎年見学したものです。
 そして、彼、「だいごろう」もその花火を楽しみに?していた一人でした。もともと犬は色の判別ができないので、どんなにきれいな花火もその目には映りません。その上聴覚は人間の約5倍ということなので、あの花火の音が犬にとってどんなにすごい音なのかは、想像できなくはないのですが・・・(実際どんな犬でも花火は怖いものらしい)。
 彼の場合はその恐怖が半端ではないようでした。ある年は突然始まった花火の音に驚いて隣町まで大脱走!(家に戻ってきたのは2日後でした)そしてある年は、突然の轟音に逃げ場を探し、お水を張った浴槽にドボン!腰を抜かししばらく立つことができなかった年もありました。
 それ以来、私の両親は花火大会の日になると朝から晩まで(なぜか当日はただならぬ気配を感じるのかそわそわし始めるのです・・・)彼に付き添い子守をすることとなりました。普段は外で飼われている彼もこの日ばかりは座敷犬になります。巨体をぶるぶる震わせ、目には涙をいっぱいためて父親の膝に乗り、ただひたすら時が過ぎるのを待つのです。その姿は本当に滑稽でかわいかったものです。
 彼は、その後13年も生き続け、信じられないようなエピソードを数々残しこの世を去りました。彼を恐怖に陥れた花火大会も町の整備に伴い打ち上げのための場所が確保できなくなり今年が最後の開催となるそうです。とても寂しい気がしますが、これからもどこかで花火の音を聞くたびに彼を思い出すことでしょう。

2004年 さかみち 11号より
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