割増賃金

割増賃金の対象、基礎賃金

 時間外や深夜(午後10時~午前5時)に労働させた場合には、2割5分以上、法定休日(1週間に1日もしくは4週間で4日の休日)に労働させた場合には、3割5分以上の割増賃金を支払わなければなりません。

 割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当(住宅に要する費用に応じて算定の場合のみ)、臨時に支払われた賃金、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金は算入しません。

 年俸制適用労働者に対しても、時間外、休日及び深夜に労働させた場合には、割増賃金を支払わなければなりません。ただし、労基法第41条第2号の管理監督者、機密事務取扱者については、労働時間の規制が除外されていますので、深夜業の場合を除き割増賃金の問題は生じません。

 裁量労働で労使協定によりみなし労働時間制を採用し、みなし労働時間が法定労働時間を超えていなければ、実際の労働時間には関係なく、みなし時間に応じた年俸が設定されていればよいこととなります。

 賞与については、支給額があらかじめ確定しているものは賞与とはみなされません。年俸制で毎月支払い部分と賞与部分を合計してあらかじめ年俸額が確定している場合の賞与部分についても割増賃金の算定基礎に入れなければなりません。

割増賃金の計算方法

 1時間当たりの割増賃金の計算方法を示すと、以下のとおりです。なお、1.35又は0.35としているのは、法定休日労働の場合です。

時間給の場合
1時間当たりの割増賃金=時間給額 ×1.25(又は1.35)
日給の場合
(注)日によって所定労働時間が異なるときは、1週間の1日平均所定労働時間数。所定労働時間は、法定の労働時間ではなく、当該労働者について定められた所定の労働時間。所定労働時間が7時間である場合は、日給額を7時間で割る。
月給の場合
(注)月によって所定労働時間が異なるときは、1年間における1か月平均所定労働時間数。この算出方法は、(365-所定休日)×1日の所定労働時間数÷12か月。
出来高払いの賃金の場合
賃金が2以上の組み合わせで支払われる場合
基本給は月額で、日額の手当があるような場合には、それぞれの部分について計算した金額の合計額が1時間当たりの割増賃金となります。

時間外・休日・深夜労働等が重なる場合の割増率

法定労働時間(1日8時間、1週40時間〔特例措置事業場は1週44時間〕)を超えた
場合は2割5分以上
深夜(午後10時から午前5時まで)に労働させた場合は2割5分以上
法定休日(労基法第35条の休日)に労働させた場合は3割5分以上
法定時間外労働が深夜に及んだ場合
時間外労働(2割5分以上)+深夜労働(2割5分以上)=5割以上
法定休日労働が深夜に及んだ場合
休日労働(3割5分以上)+深夜労働(2割5分以上)=6割以上

時間外・休日手当の定額払い

 労働基準法(第32条)は、労働時間の原則を週40時間、1日8時間と定め、これを超えて労働者に労働させた場合には、同法第37条の規定により、通常賃金の2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払うよう定めています。

 このように、割増賃金(時間外手当)は、労働時間に応じて計算されるべきですが、就業規則や労働協約において、一定額、または、時間数で一律の割増賃金を定める場合があります。こうした場合であっても、一定額を超える実績に対してはその不足額を支払うことが必要です。実際の時間外労働によって計算した額が、会社で決めた時間外手当額を上回る場合には、その差額分の支払いが必要となります。

 特定の月においては定額の残業手当が不足するが、1年間を平均すれば定額が実績を上回る場合であっても、残業手当が不足する月については差額を支給しなければなりません。残業手当が実績を上回る月についても、支給額については就業規則等で定めたものですから、その全額を支払う義務が生じます。

賃金不払残業の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針

 賃金不払残業とは、いわゆるサービス残業のことをいいます。これは、長時間労働や過重労働の温床ともなっており、厚生労働省では、『賃金不払残業総合対策要綱』 を策定し、労使が主体的に労働時間の管理の適正化を賃金不払残業の解消のために取り組むべき事項を示しています。